胃酸が食道に逆流することで、胸やけなどの症状を引き起こす逆流性食道炎。症状で悩んでいる方が増えている病気で、年齢を問わず誰もが発症するリスクがあります。
逆流性食道炎の症状は胸やけだけではなく、胃・胸・のどなど様々な器官に悪影響を与えます。生活の質を下げるだけでなく、食道がんのリスクを高めるデメリットもあるため放置するのは危険です。
逆流性食道炎の症状を改善するためには、まずは原因を把握しておくことが大切です。今回は、逆流性食道炎になる5つの原因と予防するための食事対策についてご紹介します。
逆流性食道炎の5つの原因
逆流性食道炎を引き起こす原因は、主に以下の5つです。
1.加齢による下部食道括約筋の低下
胃と食道のつなぎめは、食道括約筋(しょくどうかつやくきん)という筋肉によって閉じられていますが、年齢とともに機能が低下します。
その結果、筋肉がゆるみやすくなってつなぎめが開いてしまうことで、胃酸が逆流しやすくなります。年齢が上がるほど食道や周辺の筋肉が衰えるため、逆流性食道炎を発症しやすくなるわけです。
2.脂肪分が多い食事
最近では欧米型の食生活が進んで、肉など高脂肪分の摂取が増えていますよね。脂肪分の多い食事も逆流性食道炎の発症リスクを高めます。
脂肪分が多い食事の問題点は、食べ物が胃に留まる時間が長くなり、胃酸の分泌が活発になることです。その結果、逆流する胃酸の酸性度が強くなり、食道の粘膜により強い障害を与えてしまいます。
また、香辛料・コーヒーなどの刺激が強い食品やアルコールの摂り過ぎも胃酸を活発化させます。
3.肥満・メタボ
肥満で内臓脂肪が増えると、腹圧が高くなります。胃が上の方へ押し上げられて胃と食道のつなぎめが緩みやすくなるため、胃酸の逆流が起こりやすくなります。
また、肥満の方の多くは、早食い傾向があります。早食いをすると、食べ物の消化に時間がかかり、胃酸の過剰分泌を引き起こしてしまいます。
4.過度なストレスや緊張
過度のストレスや緊張によって自律神経も乱れると、胃液の分泌を司る神経を刺激して、胃酸を多く分泌してしまいます。
また、ストレスは食道の知覚過敏に影響を与えて、ちょっとした刺激に対しても過敏に反応しやすくなります。すると、少し胃酸が逆流しただけで、胸やけなどの症状が出やすくなります。
5.食道裂孔(しょくどうれっこう)ヘルニア
胃と食道は横隔膜で区切られていますが、横隔膜より上に胃がはみ出てしまう状態が食道裂孔ヘルニアです。肥満などで腹圧が高い人や、咳が多い人に発症しやすい病気です。
引用:済生会
食道裂孔ヘルニアになると食道括約筋が働きにくくなるため、胃酸が逆流しやすくなります。食道裂孔ヘルニアの場合、胸やけだけではなく、胸のつかえ感などの症状も起きます。
逆流性食道炎を予防するための食事・食後対策
逆流性食道炎になる主要な原因の1つは普段の食生活にあります。予防するためには、食生活の改善が大切です。
脂質分の高い食事を避ける
脂っこい肉料理は、胃で消化するのに時間がかかり、胃酸が出すぎる原因になります。食道括約筋をゆるめるホルモンも分泌されるため、胃酸が逆流しやすくなります。
胃酸の過剰分泌を避けるためには、脂肪分が少ない食べものを摂ることがおすすめです。例えば、脂肪分が少ない赤身の肉や淡白な魚を選び、胃に負担をかけないようにしましょう。
消化にいい食べ物
- 穀物類・・・おかゆ・白米・軟飯・うどん・そうめん
- 肉・魚・・・鶏ササミ・ひれ肉・赤身肉・白身魚
- 乳製品・・・ヨーグルト・チーズ
- 卵・豆・・・豆腐・きなこ・納豆・卵・うずら卵
- 野菜・・・キャベツ・白菜・ほうれん草・かぼちゃ・じゃがいも・さといも
- 果物・・・バナナ・りんご・桃
アルコールの飲み過ぎ・刺激物に注意する
アルコールを飲みすぎると胃酸の分泌が増えて、胸やけや呑酸(どんさん)などの原因になります。また、辛味・酸味成分などの刺激物の取り過ぎも、胃を刺激してしまいます。
胃の調子がいいときはそれほど問題ありませんが、不調を感じているときは控えるようにしましょう。
ゆっくり食べる
早食いをすると満腹中枢の働きが遅れるため、ついつい食べ過ぎてしまいます。胃が膨らみ腹圧が高まるため、胃酸の逆流が起こりがちになります。
食べるときは咀嚼の回数を増やして、ゆっくり食べることが大切です。唾液による消化が進むため胃への負担が減るだけでなく、お腹が一杯になりやすいため食べ過ぎ防止にもつながります。
食べた後にすぐに横にならない
仕事などで帰りが遅くなり、食後すぐに横になったり寝たりしていませんか? 胃で食べ物が消化される前に寝てしまうと、逆流性食道炎を発症しやすくなります。
というのも、食事のあとは胃酸の分泌が活発になるため、横になると胃酸が逆流しやすくなるからです。食べた後すぐに寝ころがらないように注意しましょう。
腹圧をかける行為を避ける
食後に腹圧を高めるような行動をすると、胃を圧迫して閉じている食道と胃の繋ぎ目の部分を押し広げてしまいます。
- 前かがみの姿勢を長時間とる
- ベルトを締め付ける
- 重い物を持つ
これらの行動を食後すぐに行うのはNGです。胃酸が逆流しやすい行動に気をつけて、胃を圧迫しないようにしましょう。
寝るときに上半身を少し高くする
逆流性食道炎を悪化させないためには、寝るときの姿勢も重要です。タオルなどを敷いて上半身を少し高くして寝るようにすると、胃酸の逆流防止に役立ちます。
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