「食後に胸のあたりがムカムカする…」「酸っぱいものがこみ上げてくる…」など、胃や食道の痛みでつらい思いをしていませんか?
逆流性食道炎と言えば「胸焼け」のイメージがありますが、症状はそれだけではありません。日常生活において悪影響が出る病気で、症状もいろいろ。自分が逆流性食道炎だと自覚してないこともあるんです。
「胃痛だと思って胃薬を飲んでいたけど、病院で検査してみたら逆流性食道炎だった…」なんてことも。症状をを悪化させないためにも、逆流性食道炎の症状をチェックして適切に対処しましょう。
逆流性食道炎とは?
逆流性食道炎とは胃酸が食道に逆流して、酸っぱいものが込み上げる呑酸(どんさん)や胸焼けなどの症状が起きる病気です。食道の粘膜には炎症が起きて、ただれができていることが特徴です。
逆流性食道炎は、年齢や性別を問わず誰でも発症しますが、中高年で肥満気味の男性に多い傾向があります。
発症する原因になるのは、食生活の乱れやストレスなどです。また、加齢によって胃と食道の間にある下部食道括約筋が低下することで、胃酸が逆流しやすくなることも一因です。
逆流性食道炎の原因【まとめ】
- 動物性脂肪のとりすぎによる胃酸過多
- 加齢による食道括約筋の低下
- 肥満によって腹圧がかかる
- ストレスによる胃の機能不全
- 食後すぐ横になる
逆流性食道炎の症状
逆流性食道炎の代表的な症状は「胸やけ」「呑酸(どんさん)」ですが、意外な症状を引き起こすこともあります。具体的な症状は以下のとおりです。
1.胸やけ
「胸のあたりがムカムカして吐き気がする…」「みぞおちから喉にかけて焼けるような感覚がある…」このような症状が胸やけです。
逆流性食道炎の最も一般的な症状で、食後に起きやすいことが特徴です。症状が重くなると胸に痛みなどが出て、食欲不振になることもあります。
2.胸がつかえる
胃酸によって食道がただれると、胸が焼けつくような痛みをともなったり、呼吸がしにくいという症状を引き起こすこともあります。
また、食道のダメージが大きくなると、食べ物が胸につかえることも。症状が悪化していると、胸痛だけでなく背中の痛みが出ることもあります。
3.呑酸(どんさん)
胃液が逆流して、苦かったり酸っぱいものが喉の奥に込み上げてくる症状が呑酸(どんさん)です。胃酸の分泌が過剰なときや、食後すぐに横になると起きやすくなります。
「口の中が酸っぱいような感じで気持ち悪い…」「ゲップが頻繁に出る」これらの症状も呑酸の影響です。
4.のどの違和感
胃液が口まで逆流して喉や気管支に炎症が起きると、食べ物が喉につかえる感じや、喉の痛みを引き起こすこともあります。
喉がヒリヒリしていたり、声がれを起こしている場合も、逆流性食道炎の可能性があります。
5.慢性的な咳(せき)
逆流性食道炎を発症すると、慢性的な咳(せき)を引き起こすこともあります。逆流性食道炎で咳が出るのは、肺に胃酸が入りこんで肺が刺激されてしまうからです。
肺に異常がないのに慢性的な咳が出る場合、 逆流性食道炎が原因ということも多いので注意が必要です。
6.食後の吐き気
胃の働きが低下していると、食べ物が胃から排出されず、胃もたれの原因になります。消化物が十二指腸に送られないため、胃に留まる時間が長くなってしまうわけです。
このとき胃酸が逆流すると、胃液とともに消化物が食道に戻るため、吐き気をもよおすことがあります。
逆流性食道炎の症状【まとめ】
上記のように、逆流性食道炎の症状はかなり幅広いことがわかると思います。症状をまとめたので、自分に当てはまるかどうかチェックしてみてください。
- 胸のあたりがムカムカする
- 胸に痛みがある
- みぞおちが焼けるように感じる
- みぞおちが熱く感じられる
- 熱いものを飲むと胸にゾワゾワした違和感
- 食後に吐き気がする
- 食べ物が喉にしみる
- 食べ物が喉にひっかかる
- 口の中が酸っぱい
- 胃の中身が逆流する感じがする
- ゲップが頻繁に出る
- 慢性的な咳(せき)
- 横になると咳が出る
- 声が枯れる
- 喉にしみるような痛みがある
- 食後に背中が痛む
- 食後にかがむと胸やけがする
- 食欲がわかない
逆流性食道炎の治療法
逆流性食道炎の治療法は、薬物治療と生活習慣の改善が中心です。症状が軽いなら、生活習慣の改善で良くなることがあります。
食生活の改善
逆流性食道炎になりやすい原因の1つは、脂肪分が多い食生活です。肉類などの高脂肪食品を食べ過ぎると、消化に時間がかかるため胃酸の分泌も多くなります。
さらに、下部食道括約筋(胃と食道の間にある)を緩めるホルモンが分泌されるため、胃酸の逆流も起きやすくなります。
脂っこい食事のあとに胸やけがあるなら、食生活が原因で胃酸が出すぎているのかも。胃の調子が良くないときは、脂肪分が少ない消化にいいものを食べるようにしましょう。
また、早食いや食べ過ぎも、胃酸の分泌を増やす原因です。食べるときは、ゆっくり咀嚼して胃に負担をかけないようにすることが大切です。
食生活の注意点
- 肉類など脂肪が多い食事を減らす
- 辛味・酸味成分などの刺激物を減らす
- 早食いでなく、ゆっくり咀嚼して食べる
- 食べ過ぎに注意。腹八分目を心がける
- 食後すぐに横にならない
ストレス対策
ストレスによって自律神経が乱れると、食道・胃などの器官が知覚過敏になり、胃酸の刺激を感じやすくなります。胃から食道にかけて不快感が強くなるため、食欲不振などの症状につながることもあります。
さらに、胃の機能も不安定になるため、胃酸などが過剰に分泌されてしまいます。もし、過度なストレスがあるなら、意識的に解消することが大切です。
では、どのようにストレス対策をすべきでしょうか。ストレス解消でおすすめなのは有酸素運動です。胃の不調は、運動不足で肥満な人ほど多い傾向にあるからです。
軽く身体を動かすと、ストレスを解消できるだけではなく、肥満対策もできます。自律神経の働きを整えるメリットもあるので、1日15~30分ほど自分に合った有酸素運動を取り入れてみましょう。
病院の治療は薬物療法がメイン
逆流性食道炎の治療は薬物療法がメインになります。処方される薬は、胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害薬(PPI)や胃酸を中和する制酸剤です。
また、ストレスが影響している場合は、抗不安薬なども処方されるようです。それぞれの症状に合わせて、これらの薬が処方されます。
逆流性食道炎は、生活習慣を改善しないまま薬の服用をやめてしまうと、再び症状が悪化しやすい病気です。完全に治すためにも、食生活には気をつけましょう。
胃酸の分泌を抑える市販薬を購入することもできますが、生活習慣を改善しても症状が良くないなら、早めに病院を受診することがおすすめです。
放置すると食道がんのリスクが高くなる!
逆流性食道炎の症状が軽くても、そのまま放置することは危険です。というのも、逆流性食道炎を放っておくと、食道が狭くなったり食道がんになるリスクが高くなるからです。
今回紹介した症状にいくつか当てはまるなら、早めに生活習慣を改善するようにしましょう。それでも症状が改善しないなら、専門医の診断を受けて早めに治療することが大切です。
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