仕事などが忙しくて、寝不足になっていませんか? もし、日中に強い眠気を感じることが多いなら、睡眠時間が足りないかもしれません。
睡眠には脳の疲れをとるだけでなく、記憶の整理・精神ストレスの軽減などの働きがあります。そのため、睡眠時間が足りないと、脳に様々な悪影響を与えてしまいます。また、将来的には脳の病気リスクを高めることも報告されています。
そこで今回は、睡眠不足による7つの症状と睡眠リズムを乱さない寝不足解消法をご紹介します。「上手に寝不足を解消できないかな…」と悩んでいる方はチェックしてみてください。
睡眠不足による7つの症状
1.集中力・注意力が低下する
慢性的に睡眠が不足すると、認知機能・論理的思考をつかさどる前頭連合野の機能が低下します。その結果、一つのことに集中できなくなったり、周りに対する注意力が低下してしまいます。
寝不足による判断ミスや注意力の欠如によって、様々な事故を起こすケースも多くあります。睡眠不足は大惨事につながるフューマンエラーの危険性を高めます。
2.記憶力・作業能率が低下する
睡眠には脳にインプットされた情報を整理したり、記憶を定着させる効果があります。ですから、睡眠不足が続くと記憶力や理解力が低下して、作業の能率も悪くなります。
アメリカで行われた睡眠と成績の関係を調べた研究報告によると、早い時刻に就寝して睡眠時間が長い生徒ほど成績が良かったことがわかっています。睡眠不足は学習能力も低下させます。
3.感情が抑えられなくなる
前頭連合野は認知機能・論理的思考のほか、感情や情動をコントロールする働きがあります。また、他人の感情を読み取るなどコミュニケーションと深い関わりがあります。
そのため、睡眠不足で前頭連合野の働きが低下すると、イライラしたり攻撃性が強くなるなど感情が抑えられなくなります。空気を読んだり、他人の感情に対する配慮がなくなるため、人間関係にも悪影響を与えます。
4.肥満やメタボになりやすい
睡眠不足になると、食欲を抑える働きがあるレプチンというホルモンが減少します。一方、食欲を増進する働きがあるグレリンというホルモンが増えるため、知らないうちに食べ過ぎる傾向があります。
睡眠不足によるだるさから日中の活動量も減るため、カロリーの消費量も減少します。内臓脂肪も増えやすくなり、肥満やメタボなどの生活習慣病になるリスクが高くなります。
5.風邪を引きやすくなる
睡眠には免疫物質の分泌を増やして、体内に侵入した細胞やウイルスの排除をサポートする働きがあります。しかし、睡眠不足が続くと免疫機能が低下するため、風邪やインフルエンザにかかりやすくなります。
また、体内の異物と戦う抵抗力が低下するため、様々な疾患にかかりやすくなったり、アレルギー症状が悪化することもあります。
6.ストレスによる不安感が強くなる
睡眠には、心理的なストレスを引き起こす不安感を軽減する働きがあります。そのため、寝不足になるとストレスがたまりやすくなり、強い不安感・憂うつ感が現れます。
さらに、不眠が続くと抑うつ症状を促進することがわかっており、うつ病を発症するリスクも高くなります。ストレスホルモンと言われるコルチゾールの分泌が増えて、身心に悪影響を及ぼします。
7.認知症の発症リスクが高くなる
アルツハイマー型認知症は、アミロイドβという脳の老廃物が蓄積することが原因の1つです。アミロイドβによって神経細胞が破壊されることで、認知症が悪化してしまいます。
アミロイドβを取り除くためには、十分な睡眠が必要です。睡眠不足は脳の機能を低下させるだけでなく、神経細胞を障害して認知症の発症リスクも高めます。
睡眠不足を引き起こす原因
睡眠不足を防ぐためには、ベットに入ってからスッと寝ることが大切です。そのためには、脳と身体が睡眠の準備をしている必要があります。
日中は交感神経(活動モード)が優勢ですが、副交感神経(休息モード)にスムーズに移行できると、良い眠りにつながります。ですから、就寝前には交感神経を興奮させないことが大切です。
しかし、以下のような生活習慣があると、眠れなくなる原因になってしまいます。自分に当てはまっていないか確認してみてください。
1.寝る前にPC・スマホを見る
PC・スマホを見ていると、ついつい夜更かしをしてしまいますよね。実はこれ、眠れなくなる原因の1つなんです。
夜になって暗くなると、メラトニンという眠りを誘発するホルモンが分泌されますが、PC・スマホなどの明るい画面を見ると、身体が夜だと感じなくなります。その結果、メラトニンの分泌が少なくなり、眠りにくくなってしまいます。
ですから、就寝1時間前にはPC・スマホの電源を消して、部屋の明かりを暗くしましょう。
2.カフェインを摂る
寝る前にカフェイン入りの食品を摂取していませんか? カフェインには神経を刺激して脳からアドレナリンを分泌させる作用があります。その覚醒作用は3~4時間ほど続くので、眠りを妨げる要因になります。
その他、利尿作用もあるので、寝ている間のトイレが近くなり、中途覚醒の原因にもつながります。就床約4時間前からカフェインを摂らないようにしましょう。
カフェインを含む食品はこちら
- 緑茶、ウーロン茶、玉露
- コーヒー
- 栄養ドリンク(滋養強壮用)
- コーラ
- チョコレート
- チョコレート入りの食品・お菓子
3.寝る直前に食事をする
夜寝る前に食事を摂ると、食べ物を消化するために胃腸が働くため、交感神経が活発になります。
また、眠くなるときには体温が下がりますが、食事をとると体温が上がるため、眠りが妨げられてしまいます。
ですので、夜食は遅くても寝る3時間前までに食べ終えることがおすすめです。もし、夜遅くに食事する場合は、消化の良い食べ物を選んで胃腸に負担をかけないようにしましょう。その他、飲酒・喫煙も眠りの妨げになるので、注意が必要です。
4.夜遅くに激しい運動をする
「 運動した後は、疲れてよく眠れるはず…」と思っていませんか?
夜遅くに長時間ジョギングしたり、激しい筋トレをすると、体温が急上昇します。体温が下がりにくくなるし、交感神経も刺激されるので、寝つきが悪くなります。
運動するなら、夕方~20時くらいまでに軽い有酸素運動がおすすめです。寝る前に体を動かすなら、軽いストレッチで身体がリラックスするぐらいにしましょう。
睡眠不足を上手に解消する方法
自分に最適な睡眠時間を知っておく
睡眠不足を解消すためには、自分にとって最適な睡眠時間を知っておく必要があります。一般的には8時間睡眠がベストと言われていますが、必要な睡眠時間は人それぞれ。何時間がベストと言い切ることはできません。
では、どのくらいを目安にすべきでしょうか。睡眠時間と死亡の危険率を関係を調べる疫学調査(アメリカで100万人以上を対象に行われた)では、睡眠時間が6.5~7.4時間の人の死亡率が最も低いという結果が出ています。
引用:睡眠改善委員会
また、日本でも同様の調査(10万人以上を対象)が行われていますが、1日の睡眠時間が7時間(6.5-7.4時間)の人が死亡リスクが低いことがわかっています。
この結果から、まずは6.5~7.4時間を目安にすることをおすすめします。少しずつ調整しながら最適な睡眠時間を探してみましょう。日中の眠気で困らない時間であれば問題ありません。
昼寝を上手く活用して寝不足解消する
睡眠不足で日中強い眠気を感じるなら、昼寝をして脳の疲れを回復させましょう。短時間の昼寝には集中力を高めたり、認知症リスクを低下させる働きが報告されています。
体内時計の働きによって、眠気は夜だけではなく昼の14~16時にも訪れることがわかっています。この睡眠リズムに合わせて、昼寝をすることがおすすめ。
とはいえ、長時間眠ってしまうと、体内時計のリズムが狂って夜眠れなくなってしまいます。昼寝をするときは15~20分程度、長くても30分以内に抑えることが大切です。
また、夕方以降に昼寝をすると夜の睡眠に影響を与えるため、仮眠は16時よりも早い時間帯に行いましょう。
眠らなければ…という焦りは禁物!
夜なかなか寝付けないと、「早く眠らなくちゃ…」と焦ってきますよね。睡眠不足を解消するためにしっかり寝たいと思うほど、余計眠れなくなってしまうものです。
このような状態になるのは、焦れば焦るほどリラックスできなくなって、交感神経の働きが強くなるためです。
眠りたいという気持ちはわかりますが、意識しすぎと逆効果です。あまり寝る時間にこだわらずらリラックスすることが大切です。自分なりのリラックス方法を見つけて、楽な気持ちで夜過ごすことが快眠のコツですよ。
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