「脚の不快感が気になってなかなか眠れない…」「長い時間じっとしていると、脚がむずむずしてくる…」こんな悩みはありませんか?
寝ようとしているときに、動かさなければ気が済まないほど脚に不快感があるなら、むずむず脚症候群かもしれません。不眠症を引き起こすこともあるので、できるだけ早く治療することが必要です。
今回は、むずむず脚症候群の原因や治療法についてご紹介します。
むずむず脚症候群とは?
むずむず脚症候群とは、脚の深部に違和感やほてりを感じて、じっとしていられなくなる病気です。ふくらはぎや足の裏などに不快感があるので、脚を動かさずにはいられないことが特徴です。
さらに、夜になると症状が強くなる傾向があるので、脚がぞわぞわして夜眠れないといった入眠障害を起こします。有病者は男性より女性が1.5倍ほど多く、中高年に発症しやすい傾向があります。
むずむず脚症候群の主な症状
- 脚の表面ではなく内側に違和感を感じる
- 足に虫が這うようなぞわぞわした感覚がある
- 夕方から夜にかけて症状が強くなる
- じっとしているときに症状が悪化する
- 足を動かすと症状がやわらぐ
- 脚を動かしたくてしょうがない
- 脚の不快感で夜眠れない
むずむず脚症候群の原因
ドーパミンの機能障害
むずむず脚症候群の原因は、はっきり解明されているわけではありませんが、ドーパミンの機能障害が考えられています。
ドーパミンは神経伝達物質の1つで、運動に関する情報や感覚の信号を脳に伝える働きがあります。そのため、ドーパミンが不足したり機能低下により、末梢神経に異常が出やすくなります。
つまり、ドーパミンの機能低下によって間違った情報が脳に伝わってしまい、脚のむずむずや不快感を引き起こすわけです。また、夕方から夜にかけて症状が強くなるのは、ドーパミンの分泌量が少なくなるためと考えられています。
鉄分不足による代謝異常
ドーパミンを作るためには鉄分が必要なため、体内で鉄分が不足するとドーパミン濃度が下がって機能障害を起こしやすくなります。
実際に、鉄分の指標となる血清フェリチン値が低ければ低いほど、むずむず脚症候群の症状が出やすくなることがわかっています。
持病・疾患よる2次的症状
むずむず脚症候群の発症は持病や疾患が原因になることもあり、二次性むずむず脚症候群と言われています。その主な病気は、慢性腎不全・パーキンソン病・鉄欠乏性貧血などです。
特に腎機能障害の方は発症率が高く、慢性腎不全で透析を導入する段階になると症状が出やすくなる傾向があります。ドーパミンの機能障害で発症するパーキンソン病の方も、むずむず脚症候群になりやすいことが知られています。
また、家族の中でむずむず脚症候群患者がいる場合、血縁者の発症リスクが高いこともわかっており、遺伝の影響もあると考えられています。
むずむず脚症候群を発症しやすい人
- 鉄欠乏性貧血
- 腎機能が悪い(腎不全)
- 妊婦(鉄分・葉酸不足)
- 関節リウマチ
- パーキンソン病
- 遺伝(家族で症状がある場合、発症するリスクが高い)
- 薬の影響
周期性四肢運動障害との合併症も多い
周期性四肢運動障害とは、睡眠中に脚を蹴るようにピクッと動く動作を繰り返す病気で、むずむず脚症候群患者の約60~80%に合併します。
足の動作が1時間で数回起こるため、熟睡感が得られずに中途覚醒の原因になります。睡眠の質が悪化するため、昼間に強い眠気を感じるようになり、日常生活に悪影響を及ぼす場合もあります。
周期性四肢運動障害の原因は、むずむず脚症候群と同じく、ドーパミンの機能障害だと考えられています。もし、日中に強い眠気やだるさがあるなら、周期性四肢運動障害を合併している可能性があります。
むずむず脚症候群の治療方法
むずむず脚症候群が軽症の場合、生活習慣の改善によって症状が治まる場合があります。まずは、日常生活でできる対処法を3つご紹介します。
食べ物から鉄分を補給する
むずむず脚症候群は鉄分不足が原因の1つです。食生活で鉄分が豊富な食べ物を取り入れましょう。
大切なのは鉄の貯蔵を担うフェリチン(貯蔵鉄)を増やすこと。動物性食品に含まれる鉄分はヘム鉄と言われ、鉄の吸収率が高い特徴があります。フェリチン不足を解消するためにも、鉄分が豊富な動物性食品を摂るようにしましょう。
フェリチンを増やす食べ物
- 豚レバー(妊婦の方は注意が必要)
- 鶏肉レバー
- アサリ
- シジミ
- にぼし
- 卵黄 etc.
夕方以降にカフェインやアルコールを摂らない
カフェインやアルコールなどの嗜好品は、症状を悪化させます。特に、夕方以降は睡眠の質を下げ、寝ている途中に目醒めやすくなる(中途覚醒)ので要注意。その他、刺激物の摂り過ぎや喫煙もできるだけ控えましょう。
適度な運動やストレッチをする
ウォーキングやストレッチなど適度に運動を取り入れて、寝る前に脚のマッサージをすると症状が改善することがあります。また、よく歩いたり運動して筋肉の疲れがあるときもマッサージを行いましょう。
薬物治療
症状が重くて生活習慣の改善によって治らない場合は、薬物治療が行われます。治療ではむずむず脚の症状を抑えて、不眠を解消する診療が行われます。
一般的に利用されるのはドーパミンを増やすドーパミン作動薬や、抗てんかん薬の一種です。血清フェリチン値が低い場合は、鉄剤が併用されることもあります。
「レグナイト」「ビ・シフトール」など、むずむず脚症候群に有効な治療薬があるため、症状が改善する場合が多いようです。もし、生活習慣を改善しても症状が良くならない場合は、早めに病院で治療を受けましょう。
不眠症にならないために早めの対処が大事
むずむず脚症候群は、睡眠障害を引き起こして生活の質を下げてしまう病気です。場合によってはうつ病を発症することもあるため、早めの対処が重要です。
もし、むずむず脚症候群でなかなか眠れずに困っているなら、睡眠障害の専門外来や神経内科を受診してみることをおすすめします。
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