「いつものように朝食を食べていたら、突然、皮膚が痒くなって呼吸が苦しくなった…」もしかしたらそれは、食物アレルギーの症状かも!?
子どもに多い食物アレルギーですが、実は大人も突然食物アレルギーを発症することがあるんです。しかも、今までは食べても問題のなかった食べ物でも発症したりするので、まったく予期できません。
そこで、年々増加しているといわれる大人の食物アレルギーの種類や症状についてまとめました。
食物アレルギーのメカニズムとは?
私たちの体は、体内に有害なものが入ってくると抗体を作ってそれを攻撃します。それを免疫反応と呼びますが、過剰に反応しすぎると痒みやくしゃみなどの、いわゆるアレルギー症状となってあらわれてしまいます。
食物アレルギーは、ある特定の成分を自分の容量を超えて摂取してしまった場合、自分の抗体が有害なものと判断して症状を引き起こしていると考えられます。そして、その成分や含まれている食べ物を「アレルゲン」と呼びます。
子どもに食物アレルギーが多いのは、消化機能がまだ未発達なためにアレルゲンを消化できないのが主な原因と考えられています。その場合は成長につれて食物アレルギーが解消されていく場合が多いのです。
ところが、大人の食物アレルギーは治りにくく、生涯わずらうケースも稀ではないようです。
食物アレルギーになりやすい食べ物
子どもの場合はタンパク質が主なアレルゲンで、鶏卵、牛乳、小麦、ソバ、魚、ピーナッツなどがあります。一方、大人の食物アレルギーは、リンゴやサクランボ、大豆、メロン、ジャガイモといった果物や野菜などがアレルゲンになるケースが多いのです。
大人が果物や野菜で食物アレルギーを引き起こす理由は、花粉症と関連が深いとわれます。花粉症になった人は、似たようなアレルゲン物質を含む食材を食べた時に症状を引き起こしやすくなります。これは「花粉食物アレルギー症候群」と呼ばれています。
例えば、スギやヒノキにアレルギー反応を起こす人はトマトの食物アレルギーになる場合があり、ブタクサやヨモギのアレルギーの人はメロンやスイカ、ニンジンなどでアレルギーを発症する場合があります。
大人の食物アレルギーは、そのほかにエビやカニなどの甲殻類、米、小麦なども多いといわれています。
食物アレルギーはアレルゲンを食べなくても発症する!?
食物アレルギーは、アレルゲンとなる食べ物を口から摂取しなくても発症する場合があります。以前に、小麦由来成分を含んだ石鹸を使用した消費者が、小麦の食物アレルギーを発症したことがニュースとなりました。
毎日のように皮膚や目、鼻などの粘膜に、洗顔に含まれるアレルゲンが触れることによって、痒みや腫れ、鼻炎などの症状が出たのです。中には、小麦を食べても同様の症状が出る人も。
また、ゴム手袋など天然ゴム製品を使用し続けていてアレルギー発症する人もいます。これを「ラテックスアレルギー」と呼びますが、「ラテックスアレルギー」の約半数近くの人にバナナやアボガド、キウイフルーツ、栗などにも食物アレルギーを起こすことがわかっています。
最近は自然由来の成分を含んだシャンプーやスキンケア用品が人気ですが、もし使っていて体調や肌状態に異変を感じたらすぐに使用を止めましょう。
食物アレルギーの種類と症状
食物アレルギーの症状は、じんま疹や皮膚の腫れ、痒み、ノドのイガイガ、くしゃみなどですが、ほかにも下痢や嘔吐、呼吸困難などさまざまな症状があります。また、症状の出方には、大きく分けて2つの種類があります。
食べてすぐに症状が出る「即時型アレルギー」
アレルゲンとなる食べ物を取ってから数分~30分以内、遅くても2時間以内に症状が出ます。多くの場合、症状は半日で消失します。
即時型アレルギーの主な症状
じんま疹、紅斑(赤く腫れること)、痒み、ノドや口内のイガイガ、くしゃみ、鼻水、咳、ぜん息、呼吸困難、嘔吐、腹痛、下痢、目の充血など
このほか、即時型アレルギーには「アナフィラキシーショック」と呼ばれる全身症状も含まれます。心拍数が急に上がったり、血圧が低下して意識を失って倒れることも。場合によっては命にかかわる危険な症状です。
アナフィラキシーショックを発症したら安静にして、すぐに医療機関を受診しましょう。重度の場合は救急車を呼んでください。
数時間~数日後に症状が出る「遅延型アレルギー」
アレルゲンとなる食べ物を取ってから数時間から数日後に症状が出ます。症状は多様で、ゆっくりとあらわれて長く持続する場合があります。そのため、体調不良と間違って食物アレルギーだと気づかないことも。
遅延型アレルギーの主な症状
頭痛、めまい、下痢、倦怠感、肌荒れ、便秘、アトピー性皮膚炎、関節痛、むくみ、長引く湿疹など
遅延型アレルギーの多くは、特定の食品を食べ過ぎることで起こります。例えば、以前は食べなかったのに、ある時期からやたらと食べるようになったり、毎日欠かさずとっている食品があると発症する場合があります。
特に日本人は、卵や乳製品にアレルギー反応が出やすい特徴があります。卵や乳製品を多く食べるようになって体調が悪くなったなら、遅延型アレルギーの可能性があります。
大人の食物アレルギーの予防法は?
大人の食物アレルギーを予防するには、毎日同じものを食べないことが大切です。同じものを摂取し続けていると、それが自分の容量を超えてアレルゲンとなってしまう可能性があるからです。
「好物だし、体にいいから」という食べ物でも、できれば数日おき、せめて1日おきなどにとどめましょう。
また、食物アレルギーに限らず、花粉症やアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎などのアレルギー全般に共通しているのは、免疫バランスの崩れが原因です。
ストレスを溜め込んだり、過度の喫煙や飲酒、不規則な生活などに注意しましょう。そして、少しでも症状の自覚があれば医療機関で検査を受けてくださいね。
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