「みぞおちの辺りの痛み方が、いつもと少し違う・・・」このようなとき、放っておくのは心配ですよね。
医学的には心窩部(しんかぶ)と言われているみぞおちの痛みは、痛む場所・痛み方・痛みが出るきっかけなどで、原因をある程度絞ることができます。
ここでは、みぞおちが痛むときに考えられる原因や、自分でできる対処法をご紹介します。
みぞおちが痛む原因は?
みぞおちに痛みがある場合、痛む場所の近くにどのような臓器があるかを考えなければいけません。みぞおちの近くには、食道、胃、膵臓(すいぞう)などがあるので、これらの病気を主に疑います。
中には、原因を特定するために、専門的な知識や検査が必要な病気が多くありますが、ここでは比較的わかりやすいものや対処しやすいものについて説明します。
食道の病気
食道の病気としては、最近よくテレビなどで騒がれているのが逆流性食道炎です。逆流性食道炎は、胃から酸が逆流して食道にダメージを与えることで、食道が炎症を起こす病気です。
肥満や妊婦の方は、胃と食道のつなぎ目の部分がゆるくなっており、逆流が起こりやすくなっています。他にも、食事をしてからすぐに横になったり、脂肪の多い食事をとったり、ストレス・タバコ・カフェイン・アルコールなどが原因でも起こります。
逆流性食道炎になると、みぞおちの痛み以外にも胸焼けがしたり、酸っぱいもの(胃酸)がこみ上げてくるという症状が出ることもあります。逆流性食道炎に関する詳しい情報はこちらをご覧ください。
胃の病気
胃の病気として代表的なものは、胃炎・胃潰瘍・胃癌などです。これら3つの病気は、互いに関連しており、切っても切り離せない仲です。
胃炎がひどくなると胃が深く傷つけられて胃潰瘍になり、胃潰瘍が原因となって胃癌が発生する、と覚えると理解しやすいと思います。少なくとも胃潰瘍になってしまったら、医療機関の受診は必須です。
これらの原因は、生活習慣の乱れやストレスによる胃酸の増加、薬による刺激、香辛料などの過剰摂取などです。胃が痛くなる前に、このような行為がなかったか考えてみると、診断の助けになるかもしれません。
寄生虫の可能性も
最近ではヘリコバクター・ピロリ(通称ピロリ菌)に感染すると胃炎、胃潰瘍、胃癌が発生しやすくなることが知られています。
この他には、胃にアニサキスという寄生虫がついてしまった場合にも、みぞおちが痛くなります。アニサキスは新鮮なイカやサバなどの身に潜んでいることがあり、よく噛まずに食べることによって胃に侵入します。
アニサキスは胃に入ると胃を食い破ろうとするため、激痛がおこります。こうなってしまうと個人では対処できず、医療機関で内視鏡を使ってアニサキスを取り出す必要があります。
膵臓(すいぞう)の病気
膵臓の病気では、急性膵炎(きゅうせいすいえん)を考える必要があります。
急性膵炎は、本来膵臓の外に出てから働くはずの消化酵素が膵臓自身に働いて、自分で自分を溶かしてしまう病気です。みぞおちと同時に背中が痛くなるのが特徴です。
その他にもこんな病気がある
食道や胃の病気以外でみぞおちが痛くなるものとしては、心筋梗塞、初期の虫垂炎などがあります。
心筋梗塞の場合には、胸が締め付けられるような痛みがメインで、おまけのような形でみぞおちや首や肩や歯の痛みが出たりすることがあります。
虫垂炎の場合には、基本的におへその右のあたりが痛くなるのですが、初期には場所が離れているのにも関わらず、みぞおちが痛くなることがあります。
これらは個人で対処することが難しく、とても危険な病気なので、すぐに医療機関を受診しなければいけません。
痛みへの対処法は?
では、これらが起きてしまったときにはどうしたら良いでしょうか? 急性膵炎・心筋梗塞・虫垂炎の場合には、速やかに医療機関を受診しないと非常に危険です。
なので、ここでは自分で対応しやすい逆流性食道炎と胃炎についての対処法を説明させていただきます。
逆流性食道炎への対処法
逆流性食道炎の場合には、過剰な胃酸が食道に逆流してくるのが原因です。胃酸を減らすということと、逆流しにくくするという2通りの対処法があります。
まず、胃酸を減らすためには
- ストレスを減らす
- カフェインを控える
- アルコールを控える
- 脂っこい食事を控える
- タバコを控える
などの方法があります。他には、PPIやH2ブロッカーと呼ばれる胃酸を抑える薬を服用することもおすすめです。
また、胃酸の逆流をおさえるなら、以下の方法を試しましょう。
- 肥満を解消する
- 食べてすぐに横にならない
- 寝るときに上半身を少し起こして寝る
様々な生活習慣病を防ぐという意味でも非常に重要です。逆流性食道炎への対処としてだけでなく、健康のためにも意識的に注意したいところです。
胃炎への対処法
胃炎への対処も、逆流性食道炎への対処と非常に似ており、胃酸を減らすことが重要です。逆流性食道炎と同じような対処法はもちろん、PPIやH2ブロッカーなどの服用も検討しましょう。
他には、香辛料を過剰に摂取したり、刺激性のある薬を空腹時に飲んだりするなど、粘膜を刺激するようなことも控える必要があります。
なお、頻繁に胃炎を繰り返すような場合には、医療機関を受診して、ヘリコバクターピロリに感染していないか検査してみるとよいかもしれません。検査自体は簡単にできますし、感染していた場合には、除菌することによって胃炎の発生を大幅に減らせるかもしれません。
医療機関の受診も候補に
「忙しくて腹痛程度では病院にはいかない…」という人もたくさんいるでしょう。しかし、みぞおちの痛みには、多くの危険が潜んでいます。
逆流性食道炎や胃炎では、すぐには危険な状態にはならないかもしれませんが、放っておいたり何度も繰り返してしまう場合には、食道癌や胃癌になっている可能性もあります。
なかなか症状が良くならない場合には、尻込みせずに受診することをおススメします。
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