熱中症と言えば、夏のイメージがあるかもしれませんが、梅雨の6月下旬頃から発症する患者が増えてきます。
熱中症は高温・多湿であれば、屋外・屋内にかかわらず発症する可能性があります。症状が重くなると命に関わることがあるので、軽く考えずに正しく応急処置する必要があるんです。
そこで今回は、熱中症の4つの分類と症状別の応急処置をご紹介します。まずは、熱中症の4つの症状から説明します。
熱中症の4つの症状とは?
熱中症の症状は、「熱失神」「熱けいれん」「熱疲労」「熱射病」の4つに分けられ、重症度によって分類されています。
分類Ⅱ度・・・熱疲労
分類Ⅲ度・・・熱射病
比較的軽い症状が「分類Ⅰ度」で、順に症状が重くなります。具体的にどのような症状が起きるか、以下に詳しくご紹介します。
分類Ⅰ度:熱失神
高温多湿な環境で長時間にわたり活動すると、体温を下げるために体中の毛細血管が拡張して、血液の循環量が低下します。その結果、一時的に脳への血流が減少して、めまい・立ちくらみなどの症状を引き起こします。
熱失神の症状はこちら
- めまい
- 立ちくらみ
- 頭痛
- 顔色が悪い
分類Ⅰ度:熱けいれん
大量に汗をかいたとき、水分だけではなく血液中のナトリウムが減少します。このとき、水分だけ補給して塩分(ナトリウム)が不足すると、筋肉に痛みを伴うけいれんを起こすことがあります。
熱けいれんの症状はこちら
- 筋肉痛
- 筋肉のけいれん
- こむら返り
- 手足がつる
分類Ⅱ度:熱疲労
大量に汗をかいたときに適切な水分補給をしないと、脱水症状を起こして身体の血液量が減少します。その結果、全身の倦怠感や頭痛などの諸症状を引き起こすことがあります。
体温調節機能が働いていますが、より症状が重くなる「熱射病」に移行しやすい状態なので、適切な処置が大切になります。
熱疲労の症状はこちら
- 全身の倦怠感
- 頭痛
- 吐き気・嘔吐
- 顔面蒼白
- 集中力の欠如
分類Ⅲ度:熱射病
上記で紹介した「熱疲労」がさらに進行すると、脳の温度が上昇して脳の体温調節機能に異常が起こります。発汗が止まって体温が40℃を超えて、呼びかけにも反応しない意識障害や、ひきつけなどのショック状態になります。
熱射病の症状はこちら
- 頭痛・嘔吐
- 全身のひきつけ
- 言動が不明瞭
- 意識障害
- 昏睡状態
熱中症になったときの応急処置は?
では、熱中症の症状を確認できたとき、どのように応急処置をするべきでしょうか?
まずは、涼しい日陰や冷房の効いた部屋に移動して身体を横に寝かせてから、意識がはっきりしているかどうか確認します。
意識がはっきりしていて、「熱失神」「熱けいれん」の症状があるなら、首元など衣類をゆるめて風通しを良くします。自力で水分補給できる場合は、スポーツドリンクや経口補水液など水分と塩分をしっかり補給します。
また、「熱射病」の症状があるなら、身体をしっかり冷やす必要があります。衣類を緩めるだけでなく、氷袋で首・脇の下・足の付根などの血管が太い場所を冷やして、体温を下げます。さらに、足元を少し高くして、脳への血流を促進します。しっかり休んで症状が緩和したら、病院で診察を受けましょう。
もし、意識がはっきりせず、体温が高かったり言動がおかしいなどの意識障害があるなら、命にかかわる重症の可能性があります。身体を冷やしながら病院に行くか、救急車を呼びましょう。
熱中症の応急処置まとめ
- 涼しい場所に移動して、身体を横たえる。
- 衣類を緩めて、風通しを良くする
- 水分と塩分を補給する
- 氷袋で血管が太い場所を冷やし体温を下げる
- 意識障害があるなら、身体を冷やしながら病院へ
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