食べ過ぎたり飲み過ぎたときなど、胃がもたれた経験がある人は多いでしょう。
しかし、普通に食事をしただけなのに、胃がもたれてしまうこともありますよね。暴飲暴食したわけでもないのに、食後に胃もたれするのはなぜでしょうか?
今回は、食後に胃もたれする原因と病気の可能性についてご紹介します。
胃の能力低下
食べ過ぎたわけでもないのに、食後に胃が「もたれる」「張る」「重く感じる」ことはありませんか? これは、食べ物を消化する能力が衰えていることが原因として考えられます。
加齢や体調により衰えてしまった胃は、食べ物をきちんと消化できず、胃に負担をかけてしまいます。消化を助ける薬を飲むことで、消化を促進し、食べ物を十二指腸に送り出してあげましょう。
また、食べてから2、3時間後に、
- 胃がもたれる
- 胃が張る
- 重く感じる
という症状が出る場合もあります。
加齢などにより、消化するための胃酸が減少している、または、胃が十二指腸に食べ物を送り出す蠕動運動(ぜんどううんどう)が弱っている可能性があります。同時に、胃を守る粘膜の分泌量も減少するため、ますます胃の症状が悪化してしまいます。
胃の消化を助け、蠕動運動を活発にする薬を服用することによって、胃の負担を減らしましょう。胃がすぐにもたれる場合も、食後2、3時間後にもたれる場合も、食事中に食べ物を十分に噛んでから飲みこむことで、胃の消化を助けることができます。
胃が疲れていると感じたときには、脂質や油の摂りすぎをやめて、温かいものを食べるなどして十分に胃を労わってあげましょう。
病気の可能性を考えよう
胃を休めるようにしても症状が改善されない場合は、病気の可能性があります。以下の症状と照らし合わせて、自己診断してみましょう。
ゲップがよく出る
気になるほどゲップが出る場合は、「機能性ディスペプシア」「空気嚥下症(えんげしょう)」が考えられます。
これらに共通する原因は、癖やストレスです。食べ物を飲み下すときや日常生活において、空気を大量に飲み込んでいることです。
空気を大量に飲み込むと、胃の内圧があがって胃への負担が増え、胃もたれなどの症状を引き起こすのです。
機能性ディスペプシアの場合は、心理的なストレスが強いため、カウンセリングや精神科の受診を考える必要があります。
吐き気がある
胃が通常よりも垂れ下がった状態の「胃下垂」や、胃の筋肉が正常に機能していない「胃アトニー」が考えられます。消化能力が下がるので、胃もたれのほかに吐き気が起こりやすくなります。
また、進行した「胃がん」の可能性も捨てきれません。
初期症状がない胃がんは進行すると、胃が苦しい、吐き気がするなどの症状が出ます。体重減少が見られる場合などには、すぐに医師に相談して検査を受けましょう。
胃が痛む
「胃炎」「胃潰瘍」の可能性があります。「急性胃炎」であれば、数日胃を休めることで、ある程度回復します。
しかし、慢性胃炎の場合、胃の粘膜が炎症を起こして、
- 胃もたれ
- 食後の痛み
- 胸やけ
- 吐き気
- 胃の不快感
などが繰り返され、非常に辛いものです。「ピロリ菌の感染」も疑われますので、早めに医師に相談しましょう。
食事の1時間後や空腹時に胃が痛む場合は、「胃潰瘍」や「十二指腸潰瘍」が考えられます。胃がえぐれていたり、穴が開いていたりと、胃が悲鳴をあげている証拠です。
重症度によって症状は違いますが、胃壁が傷つき、尋常ではない痛みが伴います。貫通してしまうと、胃の外にある筋肉まで傷ついてしまうため、要注意。胃の痛みがある場合は、速やかに医師に相談しましょう。
検査で何も発見されない場合
胃には何の問題もないのに、胃もたれや胃痛などがある場合、「機能性胃腸症」が考えられます。
最近まで、胃アトニーや慢性胃炎と診断されることも多かったのですが、炎症が見当たらないことから名前が変わり、機能性胃腸症と名付けられました。
胃の運動機能に障害がある可能性が多く、今患者数が増えている病気です。自力で改善することは難しいため、処方薬を服用することで徐々に回復させていきましょう。
胃は非常にデリケートな臓器
胃は、少しのストレスや刺激で傷つき、症状があられます。しかし、早期胃がんの場合など、自覚症状がないものもあるので、定期的に健診を受けることが重要です。
慢性的に胃がもたれると感じたら、胃を休め、労わるようにしてあげましょう。それでも、治らない場合は、どのような時にどのような症状があるかをしっかり医師に相談し、悪化しないうちに解決する必要があります。
学校で、会社で、家庭で、日常生活で、人それぞれストレスを受けて過ごしているので、誰もが胃の病気にかかる可能性があると意識しておきましょう。
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